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こんなにやさしい千代だったのに、ある冬のこと、村人たちの間に変なうわさが流れました。
「千代は孝行者ち思うとったが、どうして、どうして。じいさん、ばあさんより早うふとんにもぐり込んで、寝っとっち言うげな。」
「へえー、そりゃほんなこつな。あん感心者の千代さんが、そげんこつ(そんなこと)すっどか。」
「ばってん、だっが(だれが)そっば(それを)見たっじゃろか。」
「なあ、平作、ゆんべ(昨夜)見たち言うたろうが。」
「おら、こん二つん目で、ちゃーんと見たっばい。」
「ばってん、平作ん他に、だっか見たもんがおっとけ(いるのかい)。」
みんな、だまり込んでしまいました。 |
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